家庭の太陽光発電補助低調

昨日1月22日の中日新聞朝刊に掲載されていました記事をご紹介させていただきます。

 

 2050年に二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの達成に向け、家庭から出る排出量を抑制しようと太陽光発電などの設備に補助金を出す取り組みを県と各自治体が22年度から本格化させている。

近年、省エネ性能を高めた住宅のエコ化や電気代の高騰が追い風となり、人気の補助金となるはずが、一部の自治体で「予算を使いきれない」との声も漏れる。

 

一部自治体「予算使いきれない」

 

国や県のエコ補助金との併用不可で壁も

 

《少なさに驚き》

 

 「申請件数は6件ですが」。

可児市議会で昨年12月に行われた一般設問に立った山根一男市議は市側の答弁を聞き思わず「ろ、6件ですか」と聞き返した。

 時間の都合もあり、これ以上の追及はできず「まだ周知が足りないと思うので引き続きお願いします」と告げ、質問を終えた。

山根市議は「事業開始と同時に申し込みが殺到し、予算上限に達していると思っていたので正直少ないと驚いた」と振り返った。

 ソーラーパネル設置の補助事業は、各自治体が事業主体となるが、費用は国の負担となる。

国から県に年約5憶の予算が振られ各自治体の人口などに応じて予算規模を決めている。

 補助額は、ほぼすべての自治体で1キロワットあたり7万円(上限5キロワット、35万円)で統一されている。

20年ごろは約20市町が独自で補助事業を行っていたが、国の補助が出るのが決まった22年9月以降には37市町まで拡大した。

 可児市の場合、約40世帯での支出を見込んでいたが、1月20日現在、10世帯にとどまっている。

市の担当者は「当初は申し込みが殺到し、抽選となることも考えていた」と語る。

申請件数が少ない理由については「年度途中で始まった事業であることと、半導体不足でソーラーパネルの供給が追いついていないこと」を挙げた。

一方、大垣市で住宅営業をしている男性は「ソーラーパネルの価格は上がったが供給には影響が出ていない」と断言する。

 

《格差を招く一文》

 

 補助金を受けられる要件に着目すると、別の理由が浮かびあがる。

「国や県からの別の補助金・交付金等を受けていないこと」ー。

可児市を含めたすべての自治体で要件に記されたこの一文に理由が隠されている。

 22年度は国が主導し、エコ住宅の普及を目的にした「こどもみらい住宅支援事業」が行われていた。

子育て世帯、若い夫婦がエコ住宅を取得した場合に最大100万円を補助する仕組みだ。

22年度はすでに予算上限に達し、締め切られているが、3月下旬からは後継となる「こどもエコすまい支援事業」が行われることが決まっている。

 これら補助金と併用は可能なのか。

県脱炭素社会推進課の担当者は「自治体によって異なる」としつつ、「ソーラーパネルを含めた状態でこどもみらいの補助金を受けた場合には対象外となる」とだけ答えた。

非常に分かりにくい説明だが、運用は各自治体の内規で決められているのが現状で、自治体ごとの格差が生まれる要因にもなっている。

 可児市では併用を全面的に禁じており、申請者のほぼ全員が新築取得時ではなく、既存住宅にソーラーパネルを載せるリフォームの一環として補助を受けているという。

 

《ゼロカーボン宣言》

 

 県内では可児、大垣、中津川、関市など13市町で50年までに二酸化炭素排出ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」を表明している。

環境省の試算では、一世帯が一年間に排出するCO2は2.72トン。

ゼロカーボンを目指す上で、各家庭のゼロカーボン化は避けて通れない道だろう。